J・PAD所見

J・PAD所見

専門家によるコメント

外傷等の出血時には生体局所では防御的止血機構が働きます。血管損傷部位では、血小板が粘着凝集し、 血小板血栓が完成(一次止血)すると同時に内因性凝固系が活性化してフィブリン塊が形成されて傷口 をふさぎ、二次止血が完成します。この間、正常では3分30秒前後ですが、外傷の傷口が大きい大量 出血時にはこの止血機構ではおさまりにくくなります。一方、血管内では「血流停滞に於ける血栓形成(血液凝固)のメカニズム」が解明され、赤血球膜に ごく微量に存在する酵素(エラスターゼ)が血液凝固第IX因子を活性化させ、赤血球自体が血栓形成(血 液凝固)反応に於けるトリガーを有していることが発見されました。そしてその働きは、血流の停滞に よる赤血球の凝集と、脱水によりヘマトクリット値が高くなり血液が濃縮され、赤血球濃度が増大した ときに促進されることが明らかになりました。

また近年、血液中の白血球などの自然免疫系細胞に含まれるエラスターゼも凝固止血に重要な働きを 有することがわかってきました (Immunothrombosis)。さらに、従来より凝固に伴って生じるトロンビ ンが凝固だけでなく、血小板を活性化して凝固反応をさらに強固にすることも知られています。 「J・PAD」は、上記「血流停滞に於ける血栓形成(血液凝固)のメカニズム」を応用し、積層された 機能性シートの働きにより、血液停滞と脱水を生じさせて創傷部面での赤血球など血球濃度を増大させ ることにより血液凝固=止血を促進させます。

第1層は創面を保護、第2層は凝固した血餅保持層で出血をおさえ、第3層は濃縮血球と分離された 凝固因子を含む血漿成分が集積し、凝固反応を促進します。第4層は血清成分が残りゲル化します。外 側の第5層は防水フィルムで第4層の水分を保持すると同時に介助者の二次感染のリスクを軽減させま す。

このように、出血面にあてて押さえるだけで、止血剤を使用しないことで薬剤による副作用の恐れも なく、防水バックシートにより負傷者の体液が介護者に直接触れるリスクが軽減され、専門的な知識も 要さずに迅速な止血を可能にする製品となっています。

「J・PAD」は救急及び災害現場で迅速に活躍できる優れた製品です。

防疫(感染予防)機能

「J・PAD」は、滅菌済みの医療機器であり防水性のバックシートを使用しています。これらにより、負傷者にとっては、傷口への直接的な感染リスクを考慮することなく使用することができ、同時にパッドで傷口を覆うことにより外部からの接触感染を防ぐことができます。一方、介助者にとっては、負傷者の血液、体液が直接触れることによる感染リスクを軽減することができます。

このように「J・PAD」は、正しい使い方をすることにより止血を促進すると同時に、負傷者・介助者それぞれの菌・ウイルスに対する接触感染リスクを軽減することができる製品です。